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自然感撮ノートexcite

”マナン”の少女達

ネパールのアンナプルナ山系の山奥に"マナン”という村がある。
かなり標高の高い地域である。
人種的にも、一つ手前の村辺りから我々と同じモンゴロイド系の人達の地域となる。
この地域に外国人が踏み込む事を許されたのは、僕が訪れたわずか数年も前の事である。
地域の独立を目指す勢力が時々、武装蜂起をしていたようである。

だが僕の目には、平和な村に思えた。
ただ銃を装備した連中が、仕留めた熊を馬の背に乗せ村に帰ってきた時の、荒々しい様子。
サイコロを振って"丁”、”半”と日本と同じ”音”で叫んで、賭博に興じ、熱狂している人達を見ると昔の東映やくざ映画を見ているような気がした。

まだ外国人の来るのが少ないのか大人には英語がほとんど通じない。
しかし12-13歳くらいの子供たちは英語をしゃべる事が出来る。
従って話は全て子供を通じておこなう事になる。

特に”おしゃまな女の子”はすぐによってきて話をしてくれる。
一つ手前の”ギャル”という村では、”ダル~マ”という小さな女の子が泊まる所を紹介してくれた。この女の子の名前を発音するのは難しく、何度も何度も発音を訂正され、正しく言えるまで許してくれなかった。

囲炉裏端、薪の光の下で村の人と食事をしていると、”ダル~マ”がやって来て、僕に結婚しているかと聞く、”ノー、独身や”と答えると17~18歳位の綺麗な女性を連れてきて僕の隣に座らせた。
僕は心ときめいたのだが、彼女は英語が全然わからない。
”お見合い”は失敗に終わった。

この”マナン”は、”ギャル”より高度が高く、広い谷あいにある。
地図上はアンナプルナⅠ峰の東正面になるのだが、ヒマラヤの峰峰は見ることが出来ない。
僕は”マナン”で2泊することにした。
・・・どうしても、アンナプルナが見てみたい!!

”マナン”の少女達_a0073778_08770.jpg

アンナプルナⅠ峰とⅢ峰(正面の山の裏にわずかに頭をのぞかせている白いピ-クがⅠ峰、左手の大きな山がⅢ峰)

一人、マナンの裏山を登る。汗をかき、息絶え絶えの体に、冷たい風が心地よい。
突然大音響が、谷中に轟いた。巨大雪崩であった。
僕は写真を撮るのも忘れ、凝視した。

山を降りていると少女たちに出会った。芝刈りの少女たちである。

”マナン”の少女達_a0073778_0135878.jpg

女の子達は、嬉しそうにに声をかけてくれ、すぐに仲良くなった。
ちょっと歩いては、僕に炒った豆をくれる。
僕は、豆を”ほおばり”ながらながら一緒に山を降りる。
村について、女の子たちに”後で遊びにおいで”と言うと、約束どおりの時間にやってき手くれた。
どうして時間がわかったのだろう。僕は嬉しくて”カトマンズ”で買ってきたお菓子をいっぱい少女たちにプレゼントした。

ネパールの山奥の村を歩くと、人々が寄ってくる。大半は”薬”を求めてやってくる。
医学的知識の無い僕は断るが、許してくれない。
僕の目の前で服を脱ぎ、爛れた患部を見せ付ける老婆も多い。
僕は、日本から持ってきた皮膚薬を塗ってやる。持っている者が持ってない人達の為にお返しをするのは当然なのだ。
ぼくは、医学的知識が無いことを悔やんだ。

素晴らしいヒマラヤの山々、そして麓に住む人達。
かって世界の”ヒマラヤ遠征隊”の人達は、現地の人達を”迷信の世界に住む未開人”扱いにしてきた。
現地の人達が信仰し、大切にしてきた山々を勝手に踏みにじってきた。
僕は、このトレッキングで、初めて”マナスル”を見た時、そしてマナスルに向かってお祈りをする人達を見た時、涙が出た。
僕が憧れ夢見てきたヒマラヤは、アルピニストだけのヒマラヤでしかなかったのだと・・・。


奈川高原で、山野草の写真を撮りながら、北アルプスの山々を眺めていると、昔の山旅のことが想いだされる。
今回は、山旅の回想を書いてしまいました。

カメラはミノルタSRT-101 ロッコール35mmF2.8
by kawasemibox | 2007-08-28 00:47 | 山岳
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凍てつく冬の夜でも、メスを求めて彷徨う猫のように、ネイチャー系写真撮影にはまっています

by 夜啼猫
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